歯を持たせるために、ワンクッション置いた治療
私が大学を卒業し歯科医になったばかりのことです。
その頃の私は、初期の虫歯もひどくなる前に早めに治療しておきたいと思い、先輩歯科医師に頼んで小さい虫歯、一度治した金属も外して、すべて治療を為直してもらいました。
その時の私は、悪いところは治療をすることが最善、はやく治療し完璧にしてブッシングで予防をすればOK!と考えていたのです。
でもそこには大きな落とし穴がありました。
それは「完璧な治療はない」と言うことです。その時に治療して頂いた先生が決して悪いというわけではないのですが、その後僕の口の中は様々なトラブルを起こしていくこととなりました。
これは虫歯の治療はせずに放置した方がいいという事ではありません、治療の技術や歯科材料の進歩で歯科治療自体のレベルは確実に高くなっています。しかし人の持って生まれたものには大きな意味があり、どんな治療も元通りに修復することは難しいのです。なので治療のポイントは一生のうちで治療の介入回数をなるべく少なくすることです。
どのタイミングで治療を行うのが適切かは一度見ただけではわかりません、その人の生活習慣や性格、細菌叢の状態、歯の質や歯並び、かみ合わせも大きく影響します。それらを注意深く観察していくことが重要になっていきます。
そして、この観察を可能にするためにも定期的なメンテナンスは必要不可欠になってきます。担当医をみつけ適切な治療を必要な時に行ってもらうというっことをお勧めいたします。