かみ合せ治療の治療目的
かみ合せがおかしくなる過程
下の顎の位置は、下顎が動く時に軸となる関節、咬んでいる位置を決めている上下顎の歯牙の関係、下顎を動かしている筋肉・神経からなっています。この中で、下顎位を決めるのに最も影響力があるのは上下の歯牙の関係です。
例えば歯科治療を受けて何か歯にかぶせ物をしたり、または詰め物をしたりしたとします。その時に今までよりも高い位置でかぶせた物が入っていたら、当然違和感がでます。でも時間が経つとなれるように症状が取れることがあります。
これは人が持っている順応能力のおかげです。
もう少し詳しく説明いたしますと…
口の中で早期接触がある場合、自分で咬む際に先に当たってしまったと思い、それを違和感として感じるわけですが、そのうち中枢神経から筋肉に指令が下り、「最初から当たらない位置でよけて噛んでください!」と伝達されることで当たっている部分をよけて最初から噛むようになります。
すると他の歯が強く当たるようになり、強く当たっている歯が今度は痛くなってくるのです。また、痛みなどを感じなかったとしても、この状態は下の位置の楽な状態ではありません。例えば、この状態は重い荷物を持っているようなものなので、そのうち慢性的な筋肉痛のような状態になり、顎が痛くなったり、大きく開けられなくなったり、カクカク音が鳴るようになったり、頭痛や肩こり、体のバランスの崩れにつながってくることも珍しくありません。
有害な早期接触がもとで、下顎位のずれが始まってくるのです。
おかしくなったかみ合せはどのようにして治せばよいのでしょうか?
狂ってしまったかみ合せは、その状態でのお口の中のかみ合せを見てもはっきり理解することがとても難しくなっています。
それは中枢神経が関与し筋肉・神経の安静な位置に顎位がないからです。なので、この中枢神経の関与をまずなくす必要があります。
そこでマイオモニターという機械で左右の耳の前方に部からその奥にある三叉神経に電気刺激(45分以上)を与えてあげることで、筋肉が楽な状態になりその位置がどこに来るかを見ていきます。
そこで上下の歯牙が噛むように調節していくことで、筋肉の安静な状態でのかみ合せになり、症状が緩和していきます。
(この治療のコンセプトをニューロマスキュラーコンセプトと言います。)
そむら歯科クリニックのかみ合せ治療の目指すところは
この筋肉・神経が楽な状態にある安静位に持っていくことです。
※このかみ合せの位置は顎関節に症状を持った方だけでなく、矯正治療やスポーツマウスピースでの下顎位も同様のコンセプトで行うことで、
良好な治療結果を出しています。
治療
では実際に、本院にいらして治療を行った患者さんを見てみましょう。
ケース1
患 者: | 22歳 女性 |
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主 訴: | かみ合せに違和感がある。 口を大きく開けると顎がカクッと鳴る感じがする。 |
既往歴: |
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上の歯の正中に対して下の歯の正中の位置が大きく左にズレています。
歯列弓は大きくゆがみ左側のかみ合せは反対咬合になっています。
レントゲン写真からも骨格が左に多く変形して成長しているのがわかります。この方は小さなころから姿勢が悪く、頬杖をついて本を読んだり、椅子に淺く腰を掛けたり、寝るときは上を向いて寝ることができず、いつも横向きで自分の腕を枕のようにして寝ていたそうです。このことからも成長期における姿勢や生活習慣が成長に大きく影響することがわかります。
そこで、かみ合せの状態をコンピューターで計測し、筋肉の緊張状態を確認したのち、マイオモニターで咀嚼筋を楽な状態にして、本来の安静で楽なかみ合せの位置を調べたところ、今のかみ合せの位置とかなり違う位置になったため、その位置で噛めるようにするために矯正治療でかみ合せを再構成することにしました。
矯正治療後の口腔内写真です。歯列弓の歪みもなくなり左右均等に咬めるようになりました。患者さんも術前に感じていた、顎の違和感がなくなり、ちゃんと噛めるようになったと喜んでいらっしゃいました。
治療後のメインテナンスはすべての歯科治療において良好な環境を保つためには必要不可欠であります。この患者さんも定期的に検診にいらしてもらっています。この方は全身とかみ合せの関係にとても理解のある方で、ご自身でも全身のストレッチを続けて頂いたおかげで、かみ合せにも術後変化が出てきました。その都度調整を行なっていくと顔の形がより左右バランスのとれたものに変わってきたのがレントゲン写真からもわかります。
ケース2
この方は、初診時20歳の女性です。顎関節症を主訴として来院されました。
既往歴は約2年前より右の顎がカクカクいうようになり、徐々に大きくなっている。顎の痛みは以前よりあったそうですが、最近段々ひどくなってきたとのことでした。肩こり、偏頭痛は中学校の頃から頻繁に起きるようになったそうです。
以前、マウスピースの治療を他院でお受けになったそうですが、よくならなかったのでやめてしまったとのことでした。
そこで、マイオモニターにて計測した下顎位に咬めるようなマウスピースを作りました。
動画1はマウスピース装着前と後の比較です。マウスピースの位置で症状が緩和されているのがわかります。そして、その位置で噛めるようになるように矯正治療を行いました。動画2は矯正治療後の患者さんです。マウスピースなしでも以前のような顎の症状が緩和されているのがわかります。
術前とニューロマスキュラーポジションでの
マウスピース装着の比較
術後(矯正治療後)
咬みあわせ治療の費用
検査 | マウスピース調整料 |
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55,000円 | 5,500円 詳しい費用については、症例によって異なりますので詳しくは診療の際にご説明いたします。 |
❉価格は全て税込みです